造園技師である矢野智徳(やのとものり)さんが見出した環境再生の手法「大地の再生」を映画にした「杜人」の上映会に行ってきました。
地球は、私たちの身体と同じように呼吸をしていて、この土の呼吸ができなくなることで、土砂災害などの災害がおこったり、土が固くなってそこに生えている木々が元気がなくなったりするそうです。矢野さんはこの手法を使って、日本全国400件以上の場を施工してきました。
コンクリートやアスファルトによって、土の呼吸が妨げられて空気や水の流れが滞ることで、土が呼吸をできなくなり、大雨などによってある時突然土の中に溜まった水と一緒に地面が崩れたりといったことが起こるとのこと。
今回は、泉妙院というお寺での上映会で、そこのお庭も大地の再生講座を開催したそうで、講師のさがひろかさん(ハイパーリラックス https://www.hyperelax.com/)によるお庭の案内もありました。
お寺の庭は、手入れが楽になるようにコンクリートで覆われていたそうなのですが、それを剥がし、その作業で出たコンクリートも小さく割って、中央に作った空気の通り道のような川?(水は流れていない)の両側に積まれていました。土を覆っていた蓋をとって、土に空気が流れるようにして、さらに土の中に空気が行き渡るように竹炭や枝などを使うとのことでした。
「大地の再生」ではそこで出たものは、そこで使い切ることを勧めています。それをゴミにしてしまうのは簡単かもしれませんが、どこかに持っていったことでその土地の環境を変えてしまうかもしれない。
今回もコンクリートが大量に出たけど、コンクリート自体が悪いわけではないので、それも資源として使うとのことでした。
その川のラインは、京都全体の地形と川を俯瞰で見て、鴨川に流れていくようなイメージの方角でラインを決めたそうです。なるほどと思いました。見た目が良いから、ではなくそういった理にかなったデザインなのだなと思いました。
映画の中で実際に元気がなかった木がイキイキとしていたり、場の雰囲気が良くなったり、溜まっていた水が流れ始めたり、といった良い変化が起こっていました。
個人的な印象ですが、矢野さんは、地球を人の身体に見立てると、血液や気の流れの滞りを良くする鍼灸師さんのようだなと思いました。^^